お客様から日本人はみんなやさしいとか親切という話をよく聞く。そんなわけないじゃん、と思うのだけれど、彼らにとってはデパート、スーパー、レストラン、ホテルの人たちの働きは感嘆に値するものらしい。![]() デパートでハンカチを何枚か買って、2枚ずつプレゼント用にしてくださいとお願いする。嫌な顔ひとつせず、丁寧に包装し、どんな柄が入っているか印までつけてくれる。支払いを終えると笑顔でお辞儀され見送られる。本当にamazingな体験である。 ホテルに入ると、あちこちから「いらっしゃいませ」の声がかかる。日本人はそんな声には全く反応せずスタスタと歩いてすぎるのだけれど、わがお客様はいちいち挨拶を返している。そして、「あのラッシャはどういう意味?」と尋ねられる。「ラッシャすべてに反応していたら身が持ちませんぞ」と言うのだけれど、「習慣なのでしかたがない。そういえば京都のホテルでたくさんの従業員に挨拶されて、それに対して笑顔でコンニチハと答えていたのはワシだけじゃったなあ」 外国に行ったら日本のサービス業に従事している人の勤勉さがよく分かる。日本ではファーストフードのお店で「ケチャップください」と頼んでケチャップがカウンターに飛んでくることはないし、注文に時間がかかっても指でカウンターをコツコツされることもない。 お客様と外国のファーストフード店の怖さを話していたら、「私もコワイ」と中学生の女の子が言っていた。地元の人がビビるのだから私がヒエーと感じて当然。アメリカのお兄さんは「アメリカでもマクドナルドは従業員の教育がよくできている」と言ってたが、ホンマかいな?じゃあ他の店はどんなんだろう。日本の丁寧さに慣れすぎると外国に行ったとき、不満だらけのブー太郎になる可能性が大である。これがスタンダードではないのだと思わないと。 もうひとつほめていただけるのが「ちゃんとしてる」ところだ。 電車は定刻に到着し、駅ではガイドが出迎え、外ではバスが待機している。1分の狂いもない。 スコットランドでツアーに参加したとき、集合が9時15分にもかかわらず、バスが到着したのが9時半をまわってから。それからドライバーの雑用を済ませて出発したのが10時前。この遅れにイライラしていたのが香港の人たちと私たちだった。他の人にとってはこれがフツウなのかも知れない。でも私はこの時思っていた。「あなたのような人たちのおかげで、私たちはいつも"very organized"とお客様からほめていただけるのよ」と。 日本の電車の「定刻通り」はお客様の間でも有名だ。新幹線が駅で1分しか停車しないので、それを肝に銘じてる外国の人たちは、列車が停まるずいぶん前から降りる準備をし、早くから出口に並んでいる。 新幹線が停まるべきところでちゃんと停まるのを見て感激する人は多いが、少しずれたら「ワー、ちょっとちがうー」とこっちの方を喜ぶ人もこの頃結構いたりして。あれは運転手さんの熟練の技なのだよ。 ツアーシーズンが始まると、寝過ごして出迎えに間に合わない、どーしよー、というムンクの叫びのような夢をよく見る。昔は試験なのになーんにも覚えていない、というものだったが、年代と共に夢も変わるものである。どっちもコワーイ夢ではあるが。 |