忘れ物のはなし
ツアーの途中、スイスからのお客様が半ばあきらめ気味におっしゃった。
「主人が新幹線の窓際のフックにジャケットを忘れたんだけど…」申し訳なさそうに。
以前、アメリカのCDがいっぱい入ったボックスを忘れたと言うのを聞いたときには、ダメだ、きっと、と思った。が、今回は男性用ジャケットで長身、細身の方が着用されていたもの、出てくると確信していた。

やはり終着駅に保管されているとのこと。次の宿泊ホテルへ着払いでの宅配をお願いする。

お客様の喜びようと言ったら、もう見ていてこちらがうれしくなるようだった。よその国ではほとんどの場合出てこないのだろう。犯罪が増えてきているのは確かだが、まだまだニッポン捨てたものでもないのでは。


ツアーから2ヵ月後、スイスから小包が届いた。チョコレートとスイスアルプスの写真のカレンダー。それと、丁寧に書かれたお礼状。


こういうハプニングがあるから、毎回毎回ちがうから、ガイドの仕事はやめられない。